事業内容と研究開発Business content
各種化学工学式に基づくシミュレーション及び反応解析により検討期間の短縮並びにスケールアップ時のトラブルを未然に防ぎます。
①事例1~反応速度解析~
一般的に反応で目的物のみが単一で得られることは少なく、競争反応、逐次反応、逆反応等により複雑な反応組成となることがあります。下記の例では、HPLC及びReact-IRTMを駆使して反応の挙動を解析し、反応解析ソフトを用いて想定される素反応から反応速度を算出しました。また各素反応の速度差から、どの反応が進行しやすいかが分かります。これらの結果から、最適な滴下方法や温度の考察を行い、目的物の収率を最大化することが可能になりました。
②事例2~多変量解析~
反応条件の最適化においては、温度、助剤の種類・等量、溶媒、pH等、様々な因子が複雑に反応成績に関与します。各影響因子を一つずつ最適化する古典的手法では、膨大な実験点数が必要であり、なおかつ真の最適値に到達しない可能性が考えられます。複数の変数に関するデータをもとに、これらの変数間の相互関連を分析する統計的技法が多変量解析です。下記の例では不純物生成量に対する多変量解析により、各因子の寄与度合いを数値化し、少ない実験点数で最適な条件を選定しました。これらを把握することにより、反応の重要因子の把握に繋がり、プロセスのデザインスペースの構築に役立ちます。
③事例3~流動解析~
バッチ反応では撹拌により反応成績に影響があるケースが存在するため、撹拌に左右される反応に対しては事前に評価を行います。本事例は、その中でも反応条件として良く採用される液-液2相系のスケールアップ時の撹拌を評価したものです。液-液系の反応においては、相間物質移動が反応の律速となるため、十分な動力及び混合性が得られないと、スケールアップ時に予期せぬ結果になる可能性があります。スケールアップ時に使用する可能性のある設備での流動を解析し、選定された設備の妥当性を事前評価しました。本事例ではアンカー翼と三枚後退翼で混合性を比較したものであり、気液界面より下部の赤と青が油層と水層をそれぞれ示しており、それ以外の色では油と水が混合されている箇所になります。混合性が良いのは三枚後退翼であることが理解でき、ラボの性能と比較することにより選定された反応容器の妥当性が予測できます。
三枚後退翼
アンカー翼
水層100%
油層100%